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数と式

整式の次数と係数・降べきの順

ここでは、整式の次数や係数、定数項の求め方、および降べきの順への整理のしかたについて解説します。

単項式の次数と係数

次数(単項式の場合)

単項式を構成する文字の掛け合わせた個数

係数

単項式の数の部分

例《単項式の次数と係数》

(1)単項式 の次数と係数を求めます。

を記号を省略せずに書くと、です。が3つ、が2つ掛け合わされているので、で次数はです。また、掛け合わされている数はなので、係数はです。

(2)単項式の次数と係数を求めます。

には文字が掛けられていないので、次数はです。また、は数ですから、係数はです。

次数は文字の掛けられた個数であって、文字の種類の数ではありません。(1)で次数をと答えないように気をつけてください。なお、次数がである式を次式と言います。は5次式です。

といった数だけの式も単項式でした。このような数だけの単項式は、文字が掛けられていませんので次数はとなります。また、係数はそれぞれをそのまま答えます。ただし、の次数は例外的に考えない、すなわち次数がないものとします。これがなぜなのかは補足↓で説明します。

さて、これだけなら簡単なのですが、ここから「特定の文字に着目する」ということについて考えていきます。初めて勉強する人には慣れない考え方かもしれませんが、高校数学で必須の考え方なので是非マスターしてください。

特定の文字に着目して次数・係数を考える

「特定の文字に着目する」とはどういうことでしょうか。これは言い換えると、「着目するもの以外の文字は数と同じ扱いをする」ということです。次の例を見て、特定の文字に着目したときの次数と係数の求め方を確認してください。

例《特定の文字に着目したときの単項式の次数と係数》

(1)について、に着目したときの次数と係数を求めます。

にはが3個、が2個掛けられていますが、今に着目しているので、このうちだけを文字と扱い、は数として扱います。

次数は文字の個数を数えます。ここでは、文字の扱いをしているだけを数えるので、次数はです。係数は数の部分を取り出します。ここでは、の他に数として扱っているの部分も取り出して、係数はとなります。

(2)について、に着目したときの次数と係数を求めます。

今度はは文字として扱い、は数と扱います。次数はの個数を数えてであり、係数はの部分を取り出してです。

特定の文字に着目しているときはその文字だけを文字とみなし、それ以外の文字は数として扱います。上の例のように、同じ式でもどの文字に着目するかによって次数や係数が変わります。

どの文字に着目して式を見るかによって、その見え方は変わります。このことは、数学の問題を解く上で非常に重要です。式の見方を様々変えてみながら、もっとも解きやすい式の捉え方はどれなのかを考えながら問題を解いていくことになるのです。

なお、数学的な言葉を用いると着目している文字のことは「変数」、そうでない数と同じ扱いをしている文字は「定数」と言います。変数と定数の扱いの違いは高校数学における重要なテーマの1つです。

練習問題①

単項式の次数と係数について確認しましょう。

問題

練習問題 1-002【レベル:基礎確認】

次の(a)~(c)のそれぞれの式について、
(1)すべての文字に着目する場合
(2)に着目する場合
(3)に着目する場合
のそれぞれにおける次数と係数を述べよ。

(a)
(b)
(c)

解説

(a)(1)文字はが1個、が1個、が3個あるので、次数はよりです。係数は数の部分であるです。

(a)(2)ではない文字、は数と扱います。次数はの個数を数えてであり、係数はとなります。

(a)(3)複数の文字に着目する場合も、考え方は同じです。以外の文字であるは数と扱います。次数はの個数を合わせてであり、係数はとなります。

(b)(1)文字はが1個、が2個、が4個あるので、次数はよりです。係数についてですが、数に当たる部分がしかありませんが、これではただの記号であり数ではありません。ここは、文字式の表記のルールを思い出してください。と文字の積を書き表すときを省略するルールが有りました。今回のはこのルールによって省略されたなのです。したがって、係数はです。

(b)(2)ではない文字、は数と扱います。次数はの個数を数えてであり、係数はとなります。

(b)(3)以外の文字であるは数と扱います。次数はの個数を合わせてであり、係数はとなります。

(c)(1)一見文字に見えるですが、これはという特定の数を指すときに代わりに用いられるものです。1つの数を表現したものですから、数として扱わなければいけません。対して、は中にいろんな数が入る可能性があるので文字として扱う必要があります。ゆえに、次数はが1つとが2つをあわせてとなり、係数はとなります。

(c)(2)ではない文字、は数と扱います。もちろん、も数として扱います。式の中にがありませんので、次数はです。すべての文字を数として扱っているので、係数はと元の式の形をそのまま答えることになります。

(c)(3)以外の文字であるは数と扱います。次数はの個数のであり、係数はとなります。

解答

(a)
(1)次数:係数:
(2)次数:係数:
(3)次数:係数:

(b)
(1)次数:係数:
(2)次数:係数:
(3)次数:係数:

(c)
(1)次数:係数:
(2)次数:係数:
(3)次数:係数:

多項式の次数と定数項

多項式の次数について説明する前に、同類項について説明します。

同類項

多項式において、注目している文字の次数がそれぞれの文字の種類ごとにすべて等しい複数の項

例《同類項》

から同類項を探してまとめます。

まず、多項式を項ごとに分けます。

次に、文字の種類ごとに次数を比べ、すべての文字の種類で次数が一致する項を探します。それが同類項になります。この式では、の2つの項がともにの次数がの次数がで等しいので、同類項です。同類項は分配法則によってその係数を計算し、1つにまとめることができます。

同類項を探すときには、文字の種類ごとに次数をチェックすることが重要です。例えば、はいずれも次数がですが、が3次、が1次であるのに対し、が2次、が2次ですので、文字ごとの次数は異なります。ゆえに、これらは同類項ではありません。また、については、の次数はいずれもで同じですが、の次数がで両者で異なるので、これらも同類項ではありません。すべての文字の種類で次数が等しくなっている必要があります。

ただし、一部の文字に着目している場合、着目している文字の次数が一致していればそれ以外の文字の次数は異なっていても構いません。なぜならば、着目していない文字は数として扱っていて、文字としては見ていないからです。

例《特定の文字に着目して同類項をまとめる》

について、に着目して同類項をまとめます。

それぞれの項について、の次数のみに着目してそれが等しい項を探します。すると、はいずれもについて3次なので同類項、またについて1次なので同類項です。同類項をまとめると、次のようになります。

特定の文字に着目して同類項をまとめる場合、着目している文字はアルファベット順を無視してでも後ろにくくりだすのがポイントです。これにより、前に数(と扱っている部分)、後ろに文字というふうに書き方が統一されます。パッと見ではあまり簡単になっているようには見えませんが、特にこのあと学習する「因数分解」ではこのまとめ方が非常に重要です。

同類項のまとめ方について学習したので、これを踏まえて多項式の次数について見ていきましょう。

次数(多項式の場合)

同類項をまとめて整理した状態の多項式で、各項の次数の中で最も大きいもの

例《多項式の次数》

(1)の次数を求めます。

まず、同類項をまとめます。が同類項、が同類項ですので、まとめるととなります。各項の次数は左からですので、この中で最も大きいがこの多項式の次数となります。

(2)に着目したときの次数を求めます。

まず、に着目して同類項をまとめます。について1次である、およびを含まないがそれぞれ同類項です。

の次数は左の項からですので、この中で最も大きいがこの多項式のについての次数となります。

多項式の次数を求めるときは、必ず同類項をまとめてから各項の次数を数えます。なぜでしょうか。という多項式で次数を求めてみましょう。もし、同類項をまとめないまま次数を求めるなら、項の次数の最大はなので、この多項式は3次式です。では、同類項をまとめてみましょう。

3次の項の係数がになってしまいました。にどんな数を掛けてもになります。今後、この式を利用する際にに様々な値を入れて式の値の変化を見るということをするでしょうが、という項はどんなを入れてもその値がとなり計算結果に影響を与えません。となると、この項を残す価値はもはやありません。次数を考えるときにもこの項は無視するのが妥当でしょう。したがって、残り3つの項の中で最大の次数である2がこの多項式の次数となります。

このように、同類項をまとめると係数がになって項が消えてしまうことがあります。項が消えると項の最も大きな次数が変化する場合があります。ゆえに、同類項をまとめて消える項を消してから次数を考えるべきなのです。

さて、皆さんは整式の次数の数え方がわかりましたが、実はこの次数は整式において最も重要な情報です。次数が異なると、整式の性質や問題を解く方針が変わってくるのです。これはすでにみなさんも経験していることで、例えば、一次方程式は移項や両辺を係数で割ることで解を求めることができましたが、二次方程式は因数分解をしたり解の公式を用いて解を求めることが多いです。また、一次関数のグラフは直線ですが、二次関数のグラフは放物線になります。これらは、ほんの一例に過ぎませんが、次数が1であるか2であるかだけでもこのように違いが生まれてきます。高校数学では3次や4次の整式も頻出しますし、これらに対してはまた違った考え方を用いなければならないのが普通です。(もちろん、全ての整式に対して共通にアプローチできる考え方もあります。)次数が異なると整式の見方が変わってくるということをぜひ抑えておいてください。

|整式の次数

最後に、定数項について説明します。

定数項

着目している文字を含まない項

例《定数項》

(1)において、すべての文字に着目する場合の定数項は、文字を含まない項ということになるので、になります。

(2)において、に着目する場合の定数項は、を含まない項ということになるので、になります。

定数項は、着目している文字に代入する値が変わってもが変わらない部分です。この性質が問題を解くときに利用されることがあります。

練習問題②

多項式の次数と定数項を求める練習をしましょう。

問題

練習問題 1-003【レベル:基礎確認】

次の(a)~(c)のそれぞれの式について、以下の問いに答えよ。

(1)すべての文字に着目して同類項をまとめよ。
(2)すべての文字に着目するときの次数と定数項を述べよ。
(3)に着目するときの次数と定数項を述べよ。

解説

(a)(1)2次の項どうしであるを含まない項どうしであるをまとめることができます。

(a)(2)各項の次数について、は3次、は0次、は1次なので、最も大きな次数はです。また、定数項は文字を含まない(すなわち次数がである)です。

(a)(3)この式に登場する文字はのみですので、(2)と状況は何ら変わっていません。(2)の答えがそのまま(3)の答えになります。

(b)(1)同類項であるのは、(0次・3次)、(2次・1次)、(3次・0次)の3組です。

(b)(2)各項の次数について、は3次、は3次、も3次なので、最も大きな次数はです。また、すべての項が何らかの文字を含んでいるので、定数項はありません。

(b)(3)各項のの次数について、は2次、は1次、は0次なので、最も大きな次数はです。また、定数項はを含まないです。が3次の項は同類項をまとめたときに消えている点に注意してください。

(c)(1)同類項であるのは、(1次・1次)の1組だけです。

(c)(2)各項の次数について、は2次、は2次、は3次、は1次、は0次なので、最も大きな次数はです。また、定数項は文字を含まないです。

(c)(3)各項のの次数について、は2次、は0次、は2次、は0次、は0次なので、最も大きな次数はです。また、定数項はを含まないです。

解答

(a)
(1)
(2)次数:定数項:
(3)次数:定数項:

(b)
(1)
(2)次数:定数項:なし
(3)次数:定数項:

(c)
(1)
(2)次数:定数項:
(3)次数:定数項:

補足

(1)で同類項をまとめた式を解答する際、項が入れ替わった式を答えていても正解となります。例えば、(a)の場合、なども正解です。

降べきの順

降べきの順

多項式を、着目している文字の次数が大きい項から順に並べる書き表し方

降べきの順は、多項式を整理して見やすくする書き方の中で最も使われるほうほうです。なぜ降べきの順を用いるかは 補足↓ で解説することにして、ひとまず降べきの順の例を見てみましょう。

例《降べきの順に整理》

(1)を降べきの順に整理します。

項ごとの次数は順にです。次数が大きい順に項を並べると、[4次], [3次], [2次], [1次], [0次]となります。よって、降べきの順に並べた式はです。

(2)についての降べきの順に整理します。

まず、に着目して同類項をまとめます。について1次である、およびを含まないがそれぞれ同類項です。

注目している文字を後ろにくくりだすのがポイントです。そして、これをの次数が大きい方から並べると、となります。これでについての降べきの順にはなっていますが、それぞれの係数も降べきの順にしておくとよりよいでしょう。係数も降べきの順にすると、となります。

降べきの順にするには、まず1つの文字に着目し、その文字についての同類項をまとめてから次数の大きい順に項を並び替えます。

練習問題③

多項式を降べきの順に整理する練習をしましょう。

問題

練習問題 1-004【レベル:基礎確認】

次の整式をについての降べきの順に整理せよ。

解説

(1)の次数が大きい順に項を並べると、[5次], [3次], [2次], [1次], [0次]となります。この順に項を書き並べば降べきの順になります。

(2)の次数が大きい順に項を並べると、[3次], [2次], [2次], [1次], [1次], [1次], [0次], [0次], [0次], [0次]となります。次数が同じ項は同類項ですので、係数をまとめましょう。2次の項は1次の項はとまとめられます。0次の項(定数項)はくくり出すがないので、カッコでまとめればOKです。最後に、の次数の大きい順に項を並べましょう。

解答

補足

なぜの次数は考えないのか

一般に、整式の積の次数について次のことが成り立ちます。

2つの整式の積の次数は、それぞれの整式の次数の和に等しい。

例えば、という掛け算で次数に注目するとというように次数の足し算が成立しています。では、の次数がであるとして同様に整式の積の次数について考えてみましょう。という掛け算の次数を考えると、という足し算になります。少し考えればわかると思いますが、この等式を満たす実数は存在しません。このように、整式の積の次数に関する法則がに限って成り立たないため、の次数は考えないことになっています。

補足

の次数をと定める流派もあるようです。

多項式の次数を求めるときに、項の次数のうち、なぜ最も大きなものにだけ注目するのか

多項式の次数は、項の次数のうち最も大きなものになるのでした。なぜ、最も大きなものだけに注目するのかというと、その次数が整式の大まかな特徴を決定づけるからです。

例えば、次の3つの1次方程式はどのような手順で解くでしょうか。

係数や定数項がどれも異なりますが、いずれも次の手順によって解くことができるはずです。

  1. 定数項を右辺に移項する。
  2. の係数で両辺を割る。

同じ解き方をするということは、この3つの方程式は仲間であると言うことができます。また、それぞれの方程式の左辺だけを取り出せば整式となりますが、その3つの整式もまた仲間であるべきでしょう。実際、これらは1次式という仲間であり、最も大きな次数が1であるという特徴が共通しています。

では、次の3つの2次方程式についてはどうでしょうか。

方程式によってどの解法が浮かぶかが違うかもしれませんが、少なくともいずれの2次方程式も「解の公式を使えば(計算は大変かもしれないが)解くことができる」ということは言えるはずです。よって、この3つの方程式の左辺に登場する整式は2次式という仲間になります。注目してほしいのは、それぞれの整式に何次の項が登場しているかです。1つ目の整式には2次の項、1次の項、定数項がすべて登場しています。一方、2つ目の整式には1次の項がなく、3つ目の整式には定数項がありません。しかし、それぞれの整式からなる方程式は解の公式という共通の解法を持っています。このことから、最大の次数が共通であれば、その他に何次の項があるかは整式の大きな特徴づけにはならないことがわかります。

また、2次方程式に先程の1次方程式の解法を当てはめて解くことはできません。このことは、1次式と2次式が全く異なる性質を持ち、区別するに値するということの根拠の1つになります。

他にも、グラフの形も大きく異なります。一次関数のグラフは直線ですが、二次関数は放物線と呼ばれる曲線を描きます。さらに、三次関数は直線でも放物線でもないまた別の曲線を描きます。

これらは例の1つに過ぎませんが、多項式を分類する上で、項の次数の最大値というのは最も重要な分類基準なのです。ゆえに、その値に次数という名前を与えられたのです。

なぜ降べきの順に整理するのか

実を言うと、「整式は降べきの順に整理しなければならない」というルールが決められているわけではありません。皆さんが答えに次数の順番がバラバラの状態で式を書いても、内容が同じであれば、降べきの順に整理する問題でない限りは正解にしてくれます。もしバツにされたら、その先生は意地悪です。少なくとも大学入試の採点官は、減点することはあっても直ちにバツにはしないでしょう。(ただし、同類項がまとめきれていない場合は計算途中とみなされてバツになる可能性が高いです。)

では、なぜ降べきの順を教わるのでしょうか。記事作成者が思う理由の1つは式の最も見やすい形を知るためです。数学というのは、与えられた情報を自分の中で分析して論理的に思考を膨らませることで問題を解いていきます。その過程で、式を変形していくことになりますが、次数の順番がバラバラな式と、きちんと順番通りになっている式では考えやすさが全く異なります。高校数学を学び始めたばかりで問題を解く経験があまりない方には想像できないかもしれませんが、問題をたくさん解いていけば自然と実感してもらえると思います。また、式を紙の上に書いたときの見た目も整っているので、採点もやりやすいでしょう。

次数の順番がきちんと並んでいる方がわかりやすいとしたとき、その並べ方として降べきの順の他にもう1つわかりやすそうな並べ方がないでしょうか。それは降べきの順の逆の並べ方、つまり、次数が小さい順に並べる書き方です。これは昇べきの順と呼ばれます。次数の順番を整えるという目的を達成するなら昇べきの順で整理してもよいはずです。

しかし、実際には圧倒的多数の場合において昇べきの順ではなく、降べきの順が採用されます。なぜでしょうか。それは、多項式の次数を素早く知ることができるからです。式を左から読んでいったときに一番最初に次数が最も大きい項が来るので、その項を見るだけで多項式の次数を決定できます。次数というのは多項式において最も重要な情報なので、少しでも先に知りたいわけです。昇べきの順では次数が最も大きい項が一番最後になってしまうので、長い式だとなかなか次数がわかりません。それでは不便なので、降べきの順が用いられるようになったのです。

ただし、始めに言った通り降べきの順は絶対的なルールではありません。状況によっては昇べきの順のほうが好まれることもあります。代表的なのは、以下の2つです。

1つ目は変数に代入する値の絶対値が非常に小さい場合です。これは、数学よりは物理でよく起こるケースです。例えば、という式の大まかな値が知りたいとします。もしが100万なら、は100京ですからはほとんど100京です。の中での値が占める割合が非常に大きく、はなくてもほとんど値が変わりません。こういった場合は降べきの順で書くのが適切です。これに対し、が100万分の1だとしましょう。すると、は100京分の1というごく僅かな数にしかなりません。の中でが値の大部分を占め、はほとんど無いようなものです。このような場合、のほうがより重要な情報だと考えられるので、と書くほうが適切です。このように、変数に代入する値の絶対値がよりずっと小さいことがわかっている場合、次数が高い項ほど値が小さくなるので値が大きな項を重視するために昇べきの順で書くことがよくあります。

もう1つは、最大の次数がわからない、あるいは無限に大きくなる場合です。一番大きな次数をもつ項が決められないので次数の小さい方から書いていくというわけです。高校数学ではなかなか遭遇しないケースですが、大学数学ではそれなりの頻度で目にします。中でも代表的なのが、テイラー展開・マクローリン展開です。大学数学の範囲かつ話の本筋ではないので、これらが何者なのかは説明しませんが、テイラー展開やマクローリン展開を行うと、次数が無限に大きくなる式を得られます。その結果を示すときには、昇べきの順で式を書きます。以下は、のマクローリン展開の式です。右辺が昇べきの順になっていることを確かめてください。

補足

厳密な話をすると、項が無限にある式は多項式とは言わず「べき級数」と呼ばれるものになります。

まとめ

まとめ
  • 単項式の次数は着目している文字の掛け合わせられた個数
  • 多項式の次数は各項の次数のうち最も大きなもの
  • 係数は単項式の数と見ている部分
  • 定数項は着目している文字を含まない項
  • 降べきの順は項を次数が大きい順に並べる書き表し方
  • どの文字に着目するかによって、式の見方は大きく変わる